『びっくり館の殺人』 綾辻行人

びっくり館の殺人 (ミステリーランド)

びっくり館の殺人 (ミステリーランド)

主人公が少年の頃、びっくり館と呼ばれるあやしげな洋館で起きた奇怪な事件があった。その真相は……というシンプルな作品。おもしれー。おーもしれー。館シリーズの中でも、かなり好きなほうです。

館に住んでいる少年の病的な描写がすっごい良い。「Help Us」の「Us」はボクとオジイチャンのことだろーと読み慣れた読者は当然思ってしまうわけなのですが、じゃあ、それがどう事件に作用したの?っていう肝心の部分がまるでわからなくて、またしても私は読みながら驚愕できました。そ、そういうことかー!
家庭教師をやっていたお兄さんが、ものすごく思いがけず阪神大震災で亡くなってしまったというのもなんだかサクっと心にささってきたというか。ああー、そうくるかー、というんじゃないんですけれども。うううん、うまくいえない。そういうものかもしれないな、という自然さと言えばいいのかな。妙に心に残りました。
ミステリランドの本はすごく当たりが多いように感じています。一応想定している読者が少年少女だから気合いをいれてるのかしら? という勝手な妄想を抱いてニコニコしたりしています。