『流星ワゴン』 重松清

流星ワゴン (講談社文庫)

流星ワゴン (講談社文庫)

う、ううううん。なぜか何かが気持ち悪かった。いや、何かが、じゃありません。正直に告白いたしましてセックス描写が気持ち悪かった。上の『時かけ』の感想と併せると、どんだけの乙女なんだ貴様は、という感じですが、申し訳ないけれども受け入れがたいものがありました。
もちろん作品上セックス描写にはちゃんと必然性があります。が。つきつめて考えると、その、必然性のありかたが気持ち悪かったのです。私は親父小説を親父小説だからというだけの理由で嫌いはしいないのだけれども、でもこれは受け入れがたい「中年の悲哀と救済」の物語でした。本当に、本当に、申し訳ないのだけれども「救済されてんじゃねーよバカ」と思ってしまった。
いや、もちろん単純な救済ではなくて、彼はここから小さい努力をコツコツと重ねて人生を軌道修正できるかナーってとこなのはわかっているんですけれどもね。でも、なんだ。「今までの人生でほんの少しだけ思いやりを持ったり想像を働かせたりすることができなかったツケ」の清算をさ、できちゃうっつーファンタジーはさ、私には、なんか許せないんですよ。