『時をかける少女』
『時をかける少女』公式サイト:http://www.kadokawa.co.jp/tokikake/index.php
あるきっかけから「今」から過去に遡ってやり直せる力、タイムリープ能力を持ってしまった紺野真琴は、ひとたびその使い方を覚えると、何の躊躇も無く日常の些細な不満や欲望に費やしてしまいます。
大好きなものはいくらでも食べられるし、いやなトラブルも即解決! ばら色の日々のはずだったのですが…。
(公式サイト http://www.kadokawa.co.jp/tokikake/index.php?cnts=story より)
これが。ものすごく。良かった。
ご招待していただいて、感想がベタ褒めっていうのはなんか気持ちが悪くて我ながらイヤンなのですが、本当にけなす余地がない良さでした。
映画の冒頭、真琴は二人の男子と野球ごっこをして遊んでいます。公式サイトによると、3人の関係は以下の感じ。
真琴は同級の女子とつるむより、3人で野球の真似事をやるのが放課後の日課です。交際というのでもない、のんびりとしたのんきな関係。
(同じく http://www.kadokawa.co.jp/tokikake/index.php?cnts=story より)
しかーし! 腐ったメスの目をしている私の心に浮かぶのはは「ハイハイ、ドリカム状態きたきた、ハイハイ。なーにがのんきな関係だよどうせキャッキャウフフしてドロっとしちゃうけど甘酸っぱい風味なんだろークソ、オメデてーなぁ、オメデてーよー!」という呪詛ばかり。ハルヒ・ショック(造語です)抜けやらぬこともあってかなりイラっとした目で眺めておりました。
しかも、この男子二人が茶髪のバカ男くんと、黒髪短髪眼鏡の医者の息子なんですよ。あ、もう、これは、ソチラ方向にしか……と、違う方向にワキャっておりました。
が。
15分も経過した頃には、そんなこと微塵も考えなくなっておりましたのですよ。
一度はワキャった腐れ方向に、作品途中で目がいかなくなるなんて、びっくりです。しかもドリカム状況憎しという思春期をこじらせたこと丸わかりなメス憎悪もなりをひそめるなんて。それどころか、いつのまにか、真琴を大好きになるなんて。
腐った目で作品を愛するとき、私はその作品そのものが持つ本来的な魅力は見えなくなっています。そのことをわかってはいるのです。腐女子的な番組鑑賞の仕方が長らくひそやかなるものであるべきだった理由の根源は、そのへんにあるんじゃないかと個人的には睨んでいますって大昔のお話ですし今は本題に関係ない。とにかく、それを自覚しつつも、楽しいから、幸せだから、時に私は腐った目で作品を愛するのです。けれども、この映画は、そうなりかけた私を物語そのものが持つ力で「作品そのものが持つ本来的な魅力」に立ち返らせてしまった。いつのまにか。
ああ、お馬鹿な女の子って、最強だ*1 *2片思いって最強だ。タイムリープって最強だ。エゴって最強だ。青春って最強だ。
未来は世界を待っている。
観終わってから、切なくて、思い出のなにかをくすぐられて、陳腐な言葉しか持たない自分がいやになって、動けないような、それでいて、気恥ずかしいことですけれども「ああ、わたしもちゃんと前に進まなくッちゃなー」とボンヤリ思わせるような、そんな映画でした。
劇場で公開されたら、絶対にもう一度行こうと思います。そして、そのへんに転がっているテンプレ明るい少女と真琴の決定的な違いをちゃんと考えられるようになってもう一度ちゃんと感想を書きたい。
何度も言うよ。いい映画でした。*3