『屋根裏に誰かいるんですよ。』 春日武彦

春日先生の本は数冊目。『ロマンチックな狂気は存在するか』とか、題名が、「文学的な狂気」に心引かれる乙女の心をグッと掴むのでつい買ってしまいます。
この本は、ズバリ題名通りの妄想に憑かれている人たちの話。主に独居老人などがなりがちみたいですね。一つの病症のカテゴリーとしても存在してもおかしくないくらいにいる、というのは知らなかった。みなさんちょっとづつ違う妄想を抱いていて楽しかったです。
でも「精神病」ってわけじゃないんだなーというのも驚き。日常生活を自力でおくれる理性はあって、しっかりしているのに、実はそういう妄想を抱いていて、家に入ると密かに天井裏にひそむ人に対してバリケードが築いてあったりするパターンが多いみたい。
そういった症例たちと、乱歩の「屋根裏の散歩者」を比較して紐解いたりしていて、読書家の春日先生っぽい面白い読物でした。たまにはこういうものもいい。