『世界悪女大全』 桐生操

淫乱で残虐で強欲な美人たち 世界悪女大全 (文春文庫)

淫乱で残虐で強欲な美人たち 世界悪女大全 (文春文庫)

幼い頃、狐狸庵先生のぐうたらシリーズが好きで、同じノリで怪奇小説集だかなんだかを読んだら実在した恐ろしい女性達の話がのっていて、そのあまりの恐怖にしばらく遠藤周作を避けていたことがあるのですが。
なんだか本屋でこの本を目にしたらあの時のあの恐怖をもう一度味わいたいような気がしてしまったのでフラっと衝動買い。
しかし、いやーーー。残酷の章は読めないわー。とりあげている女性は、ほぼ遠藤周作と同じラインナップだったと思うのですが。こちらのほうがより詳細が……。処女の血で湯あみした人とか知ってたけど、血を抜くのに鉄の処女を使っていたりしたことも知ってたけど、もっと色々のってるーーーヒーーーーーー!!!でした。
これが全部実在していた人*1なんだからすごいよなー。昔の権力者の持つ権力の絶対さって、本当にすごかったんだなーとあらゆるところで驚愕します。面白い。というか、行くところに行けば今でもこれくらいの絶対的な権力というものが存在しているんだろうナと思うと本当に怖い。
あと、やっぱり、シュヴァリエ時代というかベルバラ時代というか、フランス革命が起きるまでのルイ14〜16世あたりのフランスは素敵だなー。単にこの頃のフランスの資料があるから逸話も増えるというだけなのかもしれませんが。デュ・バリー夫人が最後の公式寵姫だったとか知らなかった。
といった具合に「こんな人がいましたよ」というのを知るのには本当に面白い一冊なんだけど、ところどころに差し込まれる筆者のコメント「今も昔も女性を怒らせると怖いですね」的コメントの寒さったらない。だまって史実だけまとめとけ。そこだけがマイナスポイントです。

*1:中には神話とかもあるんですが