『あなたに不利な証拠として』ローリー・リンドラモンド

面白かったです。好みが大衆的なワタクシにとって、このミス上位にはずれなし。
婦人警官たちの短編集。百戦錬磨の、新人の、元、さまざまな婦人警官たちの淡々と語られる物語は、ひとつひとつに何か強烈なものがあるわけじゃないんだけど、ジンワリ良かったです。淡々とって今書いちゃったけど、内容的には割りと衝撃的なものも多いんだよな。なのに漂うこの「淡々と」感はなんだったんだろう。語り口が落ち着いていて、根底にあるドラマが(材料はもちろん警官としての人生だから殺人だとかなんだけど)誰かの人生を切り取った一部を冷静に見せてくれているような感じだからかな。
ものすごくこっぱずかしいことを書くならば、湖面のような一冊でした。中はドロドロもしてるし色々いるけど、どこまでも静か、そんな感じ。うひ、こっぱずかしい。
あと、この装丁のシリーズの本を初めて買ったんですけれども、これなかなか良いですね。