『失われた町』三崎亜記
- 作者: 三崎亜記
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2006/11/24
- メディア: 単行本
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正直言って、面白くありませんでした。
てっきり自分の日常と地続きのライトSFだと思っていたら、激しいSFでした。いや、SFは大好きなんですよ。だからこそ買ったんです。なんですけれども、予想していた方向の斜め上をいかれたというか。ここまでファンタジーめいた設定の世界だと思わなかったもので……。いや、世界設定は作品の評価にはつながらないんですよ。予想外でずっこけたよ、というだけで。
そうじゃなくて、なんで突然ヒッター子爵口調でしゃべり出す半男半女が出てきてザンダシティ(@カステポー)めいた場所に?? などが気になって気になって。それ以外にも、なんだかどこか既視感があるなぁ、という「他の誰かが創作した世界」のパーツをパッチワークして見せられた感がぬぐえなかったのが楽しめなかった最大の理由です。
音楽の意味とかね。楽器とかね。私が音楽と共に生きてきていないからかもしれませんけれども、ぺらっぺらの言葉だけの説明を重ねられているようで、なんだかピンときませんでした。もっと心臓を感動でわしづかみにしてくれよ。
そして、そんなパッチワークを繋ぐのが登場人物たちなんですけれども、これがまたサッパリ感情移入できない。これは私の嗜好ですが、内面を明文化しすぎなのでどうでもよくなってしまいます。
物語のすじそのものは嫌いじゃないんですけれども、人と人が交差していく構造も嫌いじゃないんですけれども、とにかくありとあらゆる描写が気に入りませんでした。