『ラストゲーム』

面白かった! Dボの舞台は観たことがなくて、正直あんまり期待していなかったんですけれども。
舞台は第二次世界大戦が激化する日本。敵性スポーツとして迫害されている中、懸命に野球を続ける早稲田と慶応の野球部員たち。しかしやがて学徒動員が決まり、彼らは野球をやめることを余儀なくされる。
「最後の早慶戦をやろう」
生きては再び会えないかもしれない。そのときに、何がしたいか。彼らは野球を選んだ。
ってな話なんですけれどもね。

もう、これが、泣けて泣けて。そりゃそうだよこの内容じゃ!という脚本だったんですけれども。驚いたのが、Dボの子たちの芝居。なんかすっごくうまいよみんな。せっかくの良い脚本がねー…ってなる可能性もあるぞ、と覚悟して観にいったのに、ぜんっぜんそんなこと杞憂でした。もうそれが予想外に嬉しくて嬉しくて。
私が観たのはBキャスのほうだったんですけれども。主演のあらやん他、早稲田の野球チームの面々の芝居ももちろん良かったんだけど、なんてったってアダーチンが! あああああああああ、この子、すっごい成長してるーーーーーーー!!!!!って。何が起きたのかと思うくらいに立派な舞台役者でした。舞台役者的な面白さがつかめていたというか、ああ、なんて説明すればいいの? 一皮むけたとしか表現できない自分がもどかしい! なにかのてらいを捨てられていて、心の底から笑えた。良い意味での狂気があった。
でもカーテンコールではやる気なさそうに手拍子しているあたりはアダーチンのまんまなの。いやー嬉しかったなー。
あとね、柳の使い方がすっごい上手だった。やっぱり柳は、普通に喋ったり普通に踊ったりってことは無理なんだよね。たぶん。でもそれを上手に「そういう人」にみせてた。事情が知らない人がみても「挙動不審気味の子」って役作りにみえたんじゃないかな。そのへんに、柳への愛とか勝手に感じ取ってしまって、そして柳はちゃんと自分のハンデを逆手にとって役者として生きる道をみつけたんだなって思って、観終わってすごく幸せな気持ちでした。
しろたんはみんなのお父さん。
最初に観たのはZEPPの2代目だったけど、そんなに思い入れはないかなーってつもりでいた。けど。こういうの観ると、ウワーって感傷的になるもんですね。いや、感傷を抜きにしても面白かったって言える。
観にいって良かったなぁ。