『ジウ』

ジウ〈1〉―警視庁特殊犯捜査係 (中公文庫)

ジウ〈1〉―警視庁特殊犯捜査係 (中公文庫)

ジウ〈2〉―警視庁特殊急襲部隊 (中公文庫)

ジウ〈2〉―警視庁特殊急襲部隊 (中公文庫)

さんざん文句言っていたくせに、またしてもフラっとこの人の本を買ってしまいました。だってなんだか警察小説気分のままなのに、行く先の本屋さんで目に付くのがこればかりなんだもの!
で、面白い。
説得が得意のやさしい女刑事と、武闘派のSAT隊員、二人の対照的な女性が物語の軸。特に後者のほうがなんか妙に魅力的。美形って設定になっているのが本当にアホというか、そんなことしないほうが魅力的なのに……と思ってしまうけど、それでもいい。とにかく強い。戦闘力的な意味で強い。いいねー。戦闘力が高いというのはそれだけで一つの説得力だと思うんですよね。それだけに、優しさがウリのほうの女のほうが描写に行数かけてるのに魅力が薄いっつーか、あいもかわらずの「男が書いた女」で残念ではあるんだけど。
連続児童誘拐事件を発端に広がっていく物語の、謎っぷりもまたワクワクしていい。犯人が、さらった子どもの指を切断して親に見せるという非情具合も悪趣味だけど緊張感を高める。「子どもを本気で痛めつけることができる」って、そうとう怖いもんね。1巻で材料を広げて、2巻で展開して、いまのところは着地がきちんとしてくれることを切に切に願います!というところです。3巻はでも文庫じゃないんだよねー。