『バッテリー(5)』あさのあつこ

バッテリー〈5〉 (教育画劇の創作文学)

バッテリー〈5〉 (教育画劇の創作文学)

すっかり読了していたことを忘れて再読。感想を書かないと忘れるという、なんというか可哀想な脳みそにいよいよなってまいりました!
こ、このあさのあつこは一体どうしちゃったんでしょうか…後半はともかくとして、前半はちょっとアレすぎます。欲望とか!快楽とか!気持ちいいことしてやろうかとか!猛々しいままに噛み付いてこいとか!身体の芯がうずいたりとか!いちいち「う、うずいちゃってる〜〜〜!!」とか反応せざるをえないので死にそうです。読者を殺す気か!
いいんだよ、そこまで書いてくれなくていいんだ。勝手に行間読むから!書いてくれなくていいんだよ!

息をはくと、疼きが少し鎮まるのだ。一球を捕らえるたびに、身体の芯が疼く。膿みはじめた傷のように、どくどくと熱をもって疼くのだ。充実感、達成感、満足感、そんなものじゃない。この生々しい快感に、どんな名がつくのか、わからない。
性欲ですから!それ!間違いないですから!
とか、本当に翻弄されすぎる。翻弄する気で書いていやがるな、この野郎!ということが単語のチョイスのひとつひとつから伝わってくるのですが、もうここまでバッテリー脳ができてしまっている身としては罠とわかっていてもはまらずにはいられまいて。という感じです。本当に毎度毎度死を覚悟する読書です。


えーと。瑞垣や門脇の話の割合がかなり急速に増しましたね。豪ちゃん、何考えてるの?
巧>>>>(超えられない壁)>>>>伊藤さん
っていうのは、もうよくわかったから、もっと豪ちゃんの中身を見せてー。瑞垣の門脇への複雑な気持ちはわかったよ。豪ちゃんは?どうやって、巧にむかっていくの?本当に高校にいってまで一緒にいるのはしんどいの?それでも一緒にいたいんじゃないの?それが恋ってもんなんじゃないのー!!!
ちょっと、あさのあつこ自身に、豪と巧というコンビの未来への乗り越え方というか、進むべき道が掴みきれていないように思います。逃げているのはあさのあつこなんじゃないか、という。
瑞垣の一筋縄ではいかない感じはすごく好きです。策略家で、頭の回転が速くて、意地悪で、でもそこには門倉とずっと共に生きてきたがゆえの複雑な気持ちがあるのね。高校にいったら何もしない、というシーンで本当に胸が痛くなりました。瑞垣…それを門脇に言う瑞垣も、それを受け止めるしかない門脇も、痛々しいくらいに真摯で泣ける。


あとは、なんと言っても青波ですね。やっぱり青波のランドセルは黒いよ!豪ちゃんと何を遅くまで喋ったのか、すっごい知りたい。巧萌えーとか言い合ったのかな…(いわねー)
それから、吉貞のあの妄想脳にはいろいろな素質を感じます。ぜひ一緒にマイネリーベとか観たいものです。