TARTAN CHECK PATTERNS

TARTAN CHECK PATTERNS (Royalty Free Patterns)

TARTAN CHECK PATTERNS (Royalty Free Patterns)

その名もズバリな、タータンチェックの本。仕事で必要で購入したのですが、これがあまりにも面白いのでご紹介。
タータンチェックというのは、一般的に複数の色でなされる織物で作られたチェックのことで、織のチェック柄の総称と考えて間違いないと思います。おそらく最も名前を知られているであろう「ギンガムチェック」と呼ばれるあの単純な格子柄もタータンの一種なのであります。
タータンチェックというのは、そもそも織機が発達されなくては作れなかったわけで、軍隊ごとに、貴族ごとに、地域ごとに「自分の所属」を示すために使われていたのであります。ということで、この本は、それぞれのチェックの名前の柄と由来をとにかく集めましたーというもの。
たぶん、比較的有名であろう、この、深いミドリと紺と黒で構成されたチェック。この配色のチェックを(織手によって若干の構造の変化はあっても)現在では広く「ブラックウォッチ」と呼ぶのが一般的なのですけれども。
由来は

BLACK WATCH
18世紀、ハイランド連体『ブラックウォッチ』のために作られたタータン。犯罪者の見張り(ウォッチ)をする軍警察として組織されたため、俗にレッドコートと呼ばれる正規軍と区別するために独自のタータンチェックが与えられたのである。その色調から、兵士たちに『ブラックウォッチ』の愛称がついた。

なのですよ。あなたが愛用している、そのかわいらしいチェックのシャツの柄、もともとは軍隊でしたーみたいな。私もこの本をみるまで、全然しらないで使いまくってました。ブラックウォッチ。ま、知らなくてもなんら支障はないんですけれども!!!
しかし、名称がしめすチェックの指定には配色も含まれるんですね。初めて知った。つまり、ブラックウォッチと同じ構成の赤ベースのチェックを作っても、それはブラックウォッチとは呼ばないのが本来なんですね。ふむふむ。ふーむ。ま、いっか!

私が気に入ったのは、この赤いチェック。「NORTH WEST MAUNTED POLICE」

NORTH WEST MAUNTED POLICE
これは、ロイヤルカナディアン騎馬警察が、違法なウイスキー取引を取り締まる目的で1873年に結成されたときの名前である。(以下略)

スコティッシュチェックという呼称もあるとおり、タータンのほとんどはスコットランドから派生しているのですが、中にはアメリカやカナダで生まれたチェックもあるのであります。これはカナダ生まれ。ていうか、オリジナルでチェックをデザインして織ればいいだけなんだから、ニホン生まれのチェックもあるはずなんですけれどもね。
このチェックは1873年に作られたようですが、起源を13世紀まで遡るものもあれば1996年に作られたチェックも入っていて、本当に読んでいて飽きません。

最後は、コレ。

DOYLE
黒髪の北欧デーン人を指す「暗黒の外国人」を意味するヴァイキングの語に由来する名。ヘブリディーズ初頭からアルスターへ移って来た人々で、風刺漫画家のジョン・ドイルや、シャーロック・ホームズの生みの親、アーサー・コナン・ドイル卿が有名。

コナン・ドイルも身に付けたかもしれないチェックかー。こういう豆知識みたいなことが由来と一緒に書いてあるのも面白いところです。
他にも、FBIがバグパイプ楽団のために作ったチェックとか、ダイアナ妃のためのチェックとか、「ロビンフッド」という名のチェックとか、全451種のチェックが由来とともに網羅されていて、3800円とちょっとお高いですが、間違いなく末永く楽しめる一冊だと思いました。