『報復』 ジリアン・ホフマン

報復 (ヴィレッジブックス)

報復 (ヴィレッジブックス)

わたくしは、まれにこのテの本を読みます。パトリシア・コーンウェルとかも集めてたよ。スノッブでプレッピーなんです(スノッブの意味をよくわかっていません。プレッピーの意味は音の響きから推測してパープリンに近いと思います)。
それにしても、アメリカの猟奇殺人の描写のひどさっていうのは、当たり前ながらエスカレートしていますね。想像させちゃいけない範疇まできてるんじゃないかって気がする。ひどすぎる。猟奇殺人に関しては、あの国にはまだまだかないません。いや、小説内ですけれども。本当に吐き気のするような連続殺人っぷりなので、そういうのがお好きな方は読んでみるといいと思います。逆にそういうのがダメな人は読まないほうがいいです。私は割りと平気なほうだけど、それでも胸クソ悪かった。
ま、その胸クソ悪さが必須な物語ではあるのですが。
あと、アメリカの警察小説は、必ず地元警察とFBIが対立するので、どんだけ対立してるんだ!と思います。この小説は、地元警察視点なので、FBIをいけすかない連中扱いしています。
以下、ネタバレ感想

まずもってこんなレイプ描写許せない。ぎーーー。犯人が憎い。憎くて、怖い。そう思わせるのが狙いなので、まんまとです。くそー。狙い通りの自分も憎い。
主人公の女の人の恐怖が想像できまくって、本当に手に汗を握りました。裏表紙さえ読んでなければ、もっと楽しめたのに…彼女の、恋人への態度とかもすごい理解できました。ううう、かわいそうに…。
最終的に彼女は助かるだろうと信じてはいましたが、それでも、どんでん返し後は怖かった。ていうか、残りページが少ないのにまったく助かる気配がなくて本当に怖かったよー。前のめりになって読みました。
まあ、彼女が体質的にだかなんだかわからないけど、薬があまり効きませんでしたーという、なんというか、ずるい抜け道を通っての生還だったわけですけれども。ま、いいや。助かってくれて本当に良かったから。
レイプ野郎の弁護士の話が、この作品の中で一番好きでした。多分、主人公よりも彼女のことのほうが好きだった。主人公が「あなたは遺族に胸を張れるのか」と言い放つシーンはかなりのカタルシス。そのあとの自己嫌悪する弁護士が好きでした。自分の抱いていた理想から、なぜこんなに離れてしまったんだ…という。彼女なりのスジを通してくれたから裁判に勝てたのよね。
あと怖かったのは、アホなパトロール警官の不当な逮捕。アレ、本当に怖かったです。ドキドキしながら読みました。ばかばかばかばかばかばか。そこが崩れたら全てが水泡に帰すなんて、たえられねーーーー。
でも、あれだよね。連続殺人の本当の犯人は、医者だよね。結果的に、連続レイプ魔の彼も死刑が確定して、真犯人であるところの医者も死んで、復讐は果たされたし、事件ももう起きないわけだけれど。司法で裁くという意味において、それはどうなの?
それにしても、今回も裏表紙のあらすじ説明がひどかった。パトリシア・コーンウェルをもっと悪趣味にしたみたいなアメリカ小説が好きな人なら、間違いなく面白いので裏表紙は読まずに読むことをオススメしますよ。