おなかぽっちゃりさんの事件簿

なんだか今年は「窓をあけたら金木犀が匂っていた」ような唐突な秋との出会いがありませんでした。ちぇ。それが秋の一番の楽しみなのに。
小学生の頃、金木犀の香りのポプリに憧れて、小さな巾着に溜めたことを思い出します。木で咲いている花は摘んではいけない、という道徳心を持ち合わせた小学生女児が、せっせと道に落ちているオレンジ色の花を集めながら家路を辿るさまを、みなさま、どうか思い描いてくださいませ。一週間後に素敵な匂い袋ができたらクラスのみんなに自慢しよう、と密かに企んで興奮に頬を赤らめながら部屋のすみでこっそりと乾燥させているさまを。
集め、乾かした金木犀の枯花からは、ジャガイモのような匂いがしました。