ユリイカ 特集*文科系女子カタログ

本屋ちゃんにいって、立ち読みしたら「あーこりゃ立ち読みではすまねーな」という気持ちになったので素直に買ってきました。これ買ったら負けだ感を持っていたんだけれども、読みたい欲が勝った。F.S.S.DESIGNS 1 EASTER;A.K.D.を買いにいった本屋ちゃんだったのに……(置いてなかったのが悪い)(これがスンナリ手に入っていれば立ち読みしないで帰ったのに!)
というわけで、洗濯機をまわしている間に感想を書いたりしようと思います。とりあえずは服を着る。

わりときちんと読んだものたち

私は基本的には本も雑誌も最初から*1きっちりとじっくりを読む派なのですが、ユリイカはそれをやっていると挫折してしまう可哀想な頭の持ち主なので、興味をひかれたところだけ読みました。ので、その読んだ部分の紹介と感想を。
「おかんアートのように」浅生ハルミン
昨今の若奥さまの手作りインテリアが、素材を生かしたセンスバトルであるのに対して、おかんアートは「よかれと思って」精神にのっとって素材はなんでもいいからとりあえず手を動かしてみました的な慈愛グッズ、というようなくだりが面白かった。なるほどなー。

「わたしにもまだその手があったわ」と思わせてくれる

という一文がグサっと。
「女の文化のケモノ道」 野中モモ、浜名恵美子、平山亜佐子堀越英美(司会)
これを読み始めて止まらなくなったので買いました。討論というか、雑談というか。次々と変化していく話題の流れそのものが女子的。かなり面白かったです。
「オタクvsサブカル」を私は読んでないのですが、それを受けての

野中 サブカルが「○○が好きな私が好き」というのは、「それだけのわけないだろう」と「それでなにが悪いの」と、ふたつのレベルでちょっと待て、と言いたくなる。

に首をブンブンと縦に振りました。「かっこいいと思われたい」→「かっこいいと思われたいんだろうなーと思われたくない」→「かっこいいと思われたくないんだろうなーと思われたくないんだろうなーと思われたくない」という自意識スパイラルとサブカルというものの繋がりの女子視点としてかなり共感を感じる部分が。
でも、まあ、そこはスパイラルなので「それでなにが悪いの」という一種開き直り姿勢をまたヨシとできない自意識というものも存在するはずなわけで。読んで生じる素直な感想から、私はスタイルのない人生なんてクソよと堂々と言いたい派だな、という自分の立ち位置の確認ができました。おーけーだぜ。
サブカル」を「サブカルチャー」の略として単純にとらえている肌感覚にはまだなってい自分にも安心です。トンガリキッズでいたいんだ!(30歳だけど)

堀越 わたしも、みんなの思い出のドラマは全然見ていない。
野中 その時間に何してたかって話ですよね。
(略)
野中 そこからだと思うよ。ちょっとジグザグしてきたのは。
堀越 クラスメイトと語彙が合わないとか問題がでてきて、余計、孤独になっちゃう

というあたりの話も面白かったです。いや、全般的にどれもこれも私も混ぜてくれ、というくらいに面白かったのですが。でも語彙の違いにショックを受けはしても「チェッカーズかっこいい」でなら共通言語で話すことができる、という。
私もこれはずっと思っていて、学校というシステムのなにがすごいって、一緒くたであるということだと思うのです。この討論の中でも言及されていましたけれども、そういう中で居場所をみつけたり、作ったりすることで、語彙の合わない人との折り合いのつけかた(どうつけるかはそれぞれ。相手を無理矢理同じ語彙に変えようとすることもあるし、語彙のかぶる部分を探すこともある)を学んだんだよなーという。
だから、ここを読んでいる学校いきたくない症候群の小中学生のみなさま*2は、安易に優しい親に甘えて不登校とかしていないで学校に這いつくばってでも行くといいですよ。不登校とかしていると、同じ語彙の人たちの中の安寧な関係性の中でしか生きていけない人になっちゃうよ。世の中は意外と親切だから、安寧な関係だけで死ぬまで生きていくことができる道も存在しているけれども、それは一部の才能のある人だけしか最後まで歩みきることのできない道だからね。
あと、本筋に関係ないというか、ちょっと前々から気になっていたことなのですが。私は朝の連ドラを観ていたときから竹内結子が可愛くて可愛くてしょうがなくて「女子にも反感をもたれない可愛い子っていうのはこういう人のことだなー」と思っていたので、巷の女性のみなさまの竹内結子に対する評価を聞くにつけ驚いてしまいます。
「女子オタ30年戦争」金巻ともこ
これはもう単純に

かつてガンダムでガルマのやおいを描いていたお姉さま方がなぜオタクの歴史にちゃんと記されていないのか。

という問題に対して、昭和30年代生まれを第一世代、昭和40年代生まれを第二、昭和50年代生まれを第三として、女子のオタクがなぜ語る言葉を持たずに、持っていたとしても語ることをせずに現在まで来てしまったのか、という分析。面白い。

女子の心情的な部分でオタク女子が文科系女子の中で低いカーストにいるのは不細工のせいだと言い切ってしまおう。

今回のユリイカの特集の中で一番おもしろかったのはこの一文だったと断言してもいいくらいに面白かったです。なぜ不細工になるのか、集まるのか、その後天的理由などの分析も的確。
「女の子の”希望”としてのアニメ、ゲーム」橘川友

男子に愛されることが嫌いな女子だって、いません!

という出だしで始まるのですが。うーん、これはちょっと首をかしげることの多い記事でした。たしかに男子に愛されることが嫌いな女子はいなかろう。誰だって、愛されたい。でも、なんというか、これはやおい分析全般にも言えることだと思うのだけれども、女子がやおいに走る根底にあるものは「男性への拒絶」というよりは「自己の介在の拒絶」だと思うのですよねー。男性嫌いじゃなくて、自分嫌い。ああ、いや、これは上記金巻さんの言葉を借りるならば第二世代までの病理の話で、ドリー夢やら乙女ゲーやらという世代には共通の認識ではないんだろうということはわかるのですが。うーん。と眉間にシワが寄る第二世代の私です。
で、まあ、女子に特化した(やおい方向ではなくて、ファッションであるとか、まあようするにハチクロ、パラキスの流れをもっと強化したような、というニュアンス)アニメを作っていくべきじゃないか?とか、女子のみなさまは男子の大好きな美少女アニメから女子力を盗んでステップアップしちゃおうぜ! 的な流れになるのですが……
どうなんだ、それ。とここでも眉間にシワが。美少女アニメの定義*3がイマイチわかりませんけれども、ハーレムアニメなどをここ一年半くらいでそれなりには観て*4楽しみも知っているつもりでいますが、えーと、それは普通女子としての女子力をあげていくようなアレではないよなぁ。カワイイけどさ。そこをオススメする必要はあるのか? と疑問符。美少女アニメは恋愛に健気な女子たちのドラマとして見るか、バカ規範で見るかは作品それぞれだし、あう…あう……。 こいこい7は面白いのでみんな観るといいよ!(ジョークです)(こいこい7は美少女じゃない)(キャラクターデザインが美少女じゃない)(神作画であっても美少女じゃない)(そういう意味でのジョークでもない)
で、話は乙女ゲーに繋がるのですが。これは、まあな。ゲームの世界にもときめきは存在してますよーっていう。わかる流れ。なんだけど。そこから声優につながっちゃうかー話ーーー。いや、まあな。フルボイスな。うん、わかるが。が……。そういうイベントでルックス的にもいかした声優さんたちがアイドルのように乙女たちを夢ワールドにいざなってますよーって言っておいて、あんまり夢中になりすぎると声オタというバッドエンドになっちゃうけどね!って締めるって、何が言いたいの、この人。
そう、全体を通して何が言いたいのかさっぱり読み取れなかったなー。オタク女子はこういうものにはまってますよーって紹介をしたいんだか、オタク女子にむかって何かを提案したいんだか。文章がファッション誌の指南ページの文体に似ているから変な感じがしただけなのかもしれませんが。
「ひとでなしのゲーム」速水筒
はい、やってまいりました。やおい語り。病理については触れないというのが残念。そこをきっちりと分析する人が今回どなたもいらっしゃらなかったのはちょっとガッカリ。まぁ、個人的経験に則してしか語りようがないものだから難しいんでしょうが。
やおいって、なんだ。なぜ男同士の恋愛に萌えるんだ。などなど、やおい好きを外から眺めて首をかしげている人は一読してみると良いと思います。現象としての「やおい」というものをかなりきちんと説明していて、面白かったです。
「女子が世界と遊ぶ方法」平山亜佐子
家で読む気にはなれなかったので、ユリイカをかかえてカフェにいって読んでいたのですが。そのことを後悔するくらいに笑いました。文科系女子の落とし穴判別テストがめちゃめちゃに面白い。テストという名を借りて、文科系女子の自意識を愛をもってプゲラしているというか。
きみたちね! なんだかんだ言い合ったって、どーせ全員にっちもさっちもいかないから! イガイガしてないでもう謳歌しましょうよ! 的な空気を勝手に読み取りました。
(・∀・)イイ!!

さらりと流し読みしたものたち

えーと。感想とか書くのがどうしてこうも下手なんだろう、わたしったら。長いよ! 長い上にあんまり意味をなしていない感想な気がするよ!
いろいろと膨らませたい部分もはらみつつ、洗濯機がとうに止まっているのにタイピングの手が止まらないのでいい加減やめて干してきたいと思います。
さらりと読んだのは
「二十一世紀文学少女・覚書」木村カナ
メモ的感想:少女や少女的ということを考えた時点で少女でありえなくなる
「分かれ道はふたつじゃない」近代ナリコ
メモ的感想:性的なものの欠落、ということに特化している女子文化の存在
「美しき穉き少女に始まる文科系女子攻略徹底ガイド付き戦記」吉田アミ
メモ的感想:女子ズキ女子とか、このへんから考えることができそうだという感触が。ちゃんと読み返したい。
「バンドギャルという色眼鏡」平田順子
メモ的感想:素でガチで語られる「人と同じじゃない自分の生きる道」

*1:発行時系列にそって作家をコンプする、とか。ジャンプの漫画を途中で飛ばさないとか

*2:いねーよ。

*3:苺ましまろとか、含まれるのか? AIRは? なのはは? GiRLSブラボーなら合格なのか?

*4:定義がわからないのでなんとも言えないけど、ここ一年半くらいに視聴した分だけでもざっと20タイトルくらいは。広義の美少女アニメとして捉えた場合だけど。