『エンプティー・チェア』

エンプティー・チェア 上 (文春文庫)

エンプティー・チェア 上 (文春文庫)

エンプティー・チェア 下 (文春文庫)

エンプティー・チェア 下 (文春文庫)

『ボーンコレクター』のライムとサックスのシリーズの3作目。なぜか2作目をジャンプしました。いきなり7作目を読んだことを後悔しているにも関わらずジャンプしたのは、本屋ちゃんに2作目がたまたま置いていなかったことと、シリーズの初期〜中盤にかけては、人物紹介的というか色々な前提をまずは出し切るだけだから多少順番が前後したところで二人の関係とかに大差はなかろうと思ったからです。
結果から言うと、やっぱり順番は守ったほうがいいよ!です。
シリーズ3作目ということは、1&2作目で普通に起きていた事件や関係になんらかのカンフル剤だとか変化だとかをつけたい時期なわけでして、これはちょっと「変り種」の一作だったのです。そして私には、このシリーズでの変り種はまだ早かった。まだ普通に事件を読みたかった。しっぱいしっぱい。
いかんせんアウェイでの事件でライムがあまり活躍できないのがもどかしい!! 四肢麻痺のライムの日頃のもどかしさをかりそめに体験できるという意味で3作目としてはすごく良いんじゃないかとは思うのですが。

麻痺が軽減するかもしれない手術をライムが受けようとしているあたりの二人のなんかカワイイ葛藤も、「しまった関係が進歩しとる」という感じでした。えーん。
昆虫少年を本当に信用していいものかどうか、J.ディーヴァーの思う壺に私の中で二転三転するのが楽しい。
でも、あれですよね。最後の最後の大どんでん返しの作り方が、ちょっと類型というか。どんでん返したい!っていう意図がすごく透けて見えるというか。いや、楽しいからいいんですけども!かかかか看護婦ーーーーー!!!!!というドキドキの解決方法には若干引きました。あと、タイトルにもなっているエンプティーチェアがそんなにも有効なの?というのは若干首をかしげるものが。
しかし何よりも納得がいかないのは、サックスが誤って射殺してしまった警官が「無実の人間ではなかった」とわかったことで、サックスが身も心も救われてしまう、ということです。
ほいでもってこれ、上巻だけ買って下巻は一緒に買わなかったのですが(以前「上巻だけ買う奴はなに考えてんの?」とか書いた気がしますが気のせいです)、上巻がものすっごい引きで終わってまして。下巻を求めて本屋ちゃんをまたしても4軒くらいウロウロしました。密林さんにお願いするとどうしたって一晩は待たなくてはいけないので! そして行く先々で見事に「シリーズの他の巻は全部あるのにこの本だけない」などの事態に恵まれ、最終的に泣きながら密林さんにお願いすることに。脳内を「ながいいちにちになりそうだ」ってジャック・バウアーの声が響いてた。
みんな上下巻の本は一緒に買ったほうがいいよ!