ハンコック

私としては、日曜日に観た2本ならばこちらのほうを推したい……!(でも怒る人は怒り出すと思う)(観終わってから夫に「おもしろかったねー」って言ったら無言だった)
想像していたのはもっとドタバタコメディーだったのですが、違ったよ。 ドタバタコメディーだったらもっと好きになっていた予感はしますが、いいのだ。これはこれでいいのだ。
気に入ったのでネタバレで感想を書きます。


まず第一に、「フロムダスクティルドーン」みたいに、物語の途中でバーンとある出来事があってそこから方向性がグニュっと変わってしまう映画が私は大好き!*1なので、奥さんがぶっとばした瞬間、手をたたかんばかりに喜んでしまった。もうこれだけで80点あげちゃう!という気持ち。
言われてみればさー最初から奥さんの様子がなんかおかしかったよね!気にはなってたんだよ!!と思えるところも楽しい。伏線に気づいてはいたのよーって言えるのって、何かを満足させてくれると思う。
第二に、ウィルスミスが演じて見せた不死の孤独に、身をつまされたから。観ながら「全員が幸せになる方法って、あるんだろうか」って思いながら眺めていたら、ハンコックがいろいろ全部承知の上で病院からジャンプしてできる限り遠ざかっていったので、私はもう泣けて泣けてしょうがなかったんですよ。だってそのままじっとしていれば、永遠の孤独はもうないことが約束されていて、メアリと一緒に死ぬことができるわけで、でもそういう道を選ばずに彼は「メアリを生かす」ことを選んだんですよ。それはつまり、自分はメアリと共に生きない、という覚悟です。ジャンプをした、あの時点で彼の覚悟は見えていて、十分で、だから一ヶ月っていう時間は、レイたちに「その幸せを享受していいんだ」ってハンコックが説得をしていた時間なんじゃないかって思うんですよ。これはもちろん私の好意的な妄想でしかないんですけれども。
でね、全員が「100年後にはレイとアーロンだけが死んでいるだろう」ってことをわかってるんだっていうのが、もう、こう、ズガーンと、くるんです。それでも笑顔で今を生きているレイとメアリーの家族にも、今は静かに鷹と暮らしているハンコックにも。
ハンコックはそのときを待ってるのかな?そうかもしれないな。でも、永遠に一人でヒーローとして生きていくつもりなのかもしれないな。でもそうだとしたら、メアリーもまた不死のままのはずだから、メアリーも永遠の孤独を抱えて生きていくんだな、っていうのがね。
なんだろうなー。不死って、ドラマのテーマとして永遠だと思うんですけれども、この映画における不死の扱いが好みだった、ということなんだと思います。
最後に不満を書くならば、もうちょっとウィルスミスのダメなヒーローっぷりを面白いものとして描いてほしかったなーってこと。前半で思いっきり笑わせて、ぶっとばしがあって、このオチだったら文句ナシでした。
ハンコックは、誰よりも優しいヒーローでした。

*1:この映画はそこまで劇的には変わってないんだけど